「家族との時間も大切に」次世代農家が挑む、持続可能な花づくり 斉藤園芸 / 千葉県旭市|花の仕入れを簡単に。花材の卸通販|ハナイチ

「家族との時間も大切に」次世代農家が挑む、持続可能な花づくり 斉藤園芸 / 千葉県旭市

公開日: 2026-08-20

千葉県旭市の斉藤園芸で花づくりをしているのは、齊藤一樹さん。29歳の若い生産者で、祖父が40年以上続けてきた花づくりをわずか2年半で受け継ぎました。齊藤さんの花づくりを特徴づけているのが、働き方に対する向き合い方です。朝8時半に始まり、夕方17時に終業し、家族と過ごす時間を大切にしています。農家といえば早く起きて長く働くもの。そんな考え方がある中で、持続可能な農業に挑む齊藤さんの働き方を伺いました。

▶︎ 旭市内で年間を通して様々な花を育てる斉藤園芸のハウス

 


祖父の代から花づくりを受け継いで

齊藤さんは、祖父から農園を引き継ぎ、ひと世代またいだ継承をされています。東京の大学で農学部に進み、山梨の農業法人に勤めていました。転機は、より豊かな生活をするために「自分で経営する」という選択肢を考え始めたこと。継ぎ先を検討していたときに、祖父が花農家をしていることを思い出し、即決しました。

祖父は40年以上、旭市で花を育ててきました。その長年の経験で培われたネットワークと花の知識が、齊藤さんの経営の基盤になっています。今では祖父の代から20〜30年勤めているパート2名の力を借りながら、そして時々祖父母の力も借りながら、多品種を年間通して出荷しています。

▶︎ 祖父から受け継いだ花づくりの技術と市場との信頼関係が基盤になっている

 


力を入れているのは冬場のカラー

斉藤園芸の現在の主力はカラーです。その理由のひとつが、市場性。カラーは需要が全然減らない。売れる時期には安定して高値が続くこともあるそうです。

一方で、カラーは球根の価格が高く、新規で始めるにはハードルのある品目です。相場が悪い時期に当たると、経営へのダメージも大きい。相場が落ちるのは、母の日を過ぎて暑くなり、イベントも少なくなる頃です。だからこそ斉藤園芸では、その時期を避けて需要の高まる冬に出荷できるよう、去年から作型を切り替えました。

球根への投資というハードルがあるからこそ、市場での価値が保たれる。つまり、しっかり育てられれば、きちんと売れる花なのです。何を作るかだけでなく、いつ出すかまで設計する。カラーという花の奥にある、そんな経営の視点も聞かせてくれました。


裏作のトルコ、ハウスを空けない一年のスケジュール

斉藤園芸の一年は、緻密なスケジュールで組み立てられています。秋から春は、カラーとラナンキュラスが表作のメイン。夏場は作れる品目の選択肢が限られる中で、お盆に向けたトルコキキョウを裏作として育てます。そして9月は、お彼岸の需要に合わせてアスターを空いたハウスへ。土地をできるだけ空けないようにしています。

夏に関しては、裏作としてトルコキキョウを栽培している。花持ちがいいので、夏でもこの地域で作れるとのこと。トルコキキョウをメインとしている産地もある中で、裏作で育てていると聞くと、周囲の生産者からも驚かれることが多いそうです。

これは、小規模だからこそできるやり方だと齊藤さんは考えています。ハウス面積が限られているので、季節ごとに最適な品目を育てることで、ハウスを無駄なく活用できます。「パズルみたいな感じで、ここには何が作れるか、ここには何を作ろうか、毎年考えています」

▶︎ 季節ごとに異なる品目が育つ、効率的で柔軟なハウス運用

 


朝8時半から17時で終わる、家族と過ごす時間を守る働き方

斉藤園芸の仕事は、朝8時半から夕方17時まで。齊藤さんには3人のお子さんがいて、現在、家族5人で暮らす家の建築も進んでいるとのこと。

「毎日一緒に朝ごはんを食べて、夜もお風呂に入って、ご飯を食べる。その時間が何より大切」。繁忙期でも基本は変わらず、17時を過ぎることはなるべくしないようにしているそうです。無理のない、持続可能な範囲で続けていく。それが齊藤さんの働き方の軸になっています。

そして大事なのは、この働き方で経営がきちんと成り立っていることです。「継ぐ」という選択には、先代が築いてきたネットワークや花の知識を土台にできる強みがあります。その土台を活かしながら自分の経営を組み立てていく齊藤さんのやり方は、堅実に農業経営を進めるための選択肢のひとつだと感じました。

▶︎ 農家としてのプロフェッショナリズムと、家族との時間を両立させる働き方を体現されている

 


最後に:「農家のイメージが変わった」と感じた時間

「農家って大変そう」「朝早くから夜中まで、休みなく働く」「安定した収入を得ることは難しい」一般的には農業にはこのようなイメージが強いように感じます。

けれど、斉藤園芸への訪問は「持続可能な農業」のひとつのあり方を教えてくれました。家族との時間を大切にすること。会社員として農業に関わった経験があるからこそ、自分で経営することの柔軟性を活かして、無理のない範囲で続けていく形を自分でつくり上げています。

そして、農園を継ぐという選択には、先代が長年培ってきたネットワークや花の知識、そして一緒に働いてきた人材まで受け継げるという強みがあります。齊藤さんの花づくりは、これからの農業の姿のひとつのあり方を見せてくれました。

▶︎ 次世代が切り拓く、農業の新しい可能性

 


 

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FARMER'S PROFILE

斉藤園芸(さいとうえんげい)

所在地:千葉県旭市 主な栽培品目:カラー、アスター、マトリカリア、トルコキキョウなど

🔗 Instagram
@saito__engei


WRITER'S PROFILE

フローリスト:MIU

新卒で入社した大手IT企業から花屋へ転身。フローリストとして修行を経て、現在は株式会社Domuzにて花の卸サイト「ハナイチ」の商品企画や仕入れに携わる。好きな花はクレマチス『水面の妖精』。