「品質へのこだわりは、生産者からJAへ、JAから生産者へ」 出荷の半分近くを占めるデルフィニウムの産地 JA豊橋 / 愛知県豊橋市
愛知県豊橋市に本店を置くJA豊橋。花き部門ではデルフィニウムが出荷の半分近くを占め、バラなど多品目を約50名の生産者が支えています。
花き担当となって8年、他2名のスタッフと品目ごとに分担しながら生産者と向き合う鈴木さんに、JA豊橋が支える産地の技術と、生産者と農協の関係性について伺いました。
▶︎ 色とりどりの花が並ぶJA豊橋のハウス
出荷の半分近くを占めるデルフィニウム
JA豊橋の花き部門は、約50名の生産者による多品目栽培が特徴です。中でもデルフィニウムは出荷量全体の半分近くを占め、バラをはじめとした花々とあわせて年間を通じて出荷されています。
現在、全国的に広く使われているスプレーデルフィニウムの仕立て方(最初に伸びる芽を摘んでボリュームを出す方法)は、30年ほど前にJA豊橋の生産者から始まったといわれています。産地で生まれた技術が全国の花づくりに影響を与えてきたことも、この産地の大きな特徴のひとつです。
花き担当は3名体制。それぞれが品目ごとに分担しながら生産者と向き合っています。8年間に渡り、デルフィニウムやバラなど、産地を支える生産者たちとの日々のやり取りを重ねてきました。
複数の農協が合併して大きくなる中で、もともとは生産者ごとにばらばらだった品目が、少しずつひとつの方向に集約されていくことがあるといいます。
デルフィニウムがJA豊橋でこれだけ大きな割合を占めているのは、生産者ひとりひとりの判断はもちろんですが、それだけではないようです。周囲にデルフィニウムを育てる生産者が多ければ、新しく品目を選ぶ生産者もデルフィニウムを選びやすくなる。そうした積み重ねが、産地としての品目構成をかたちづくっているといいます。
生産者ひとりひとりが孤立して花をつくっているのではなく、同じJAに所属する生産者同士が緩やかに影響し合いながら、産地全体の姿ができあがっていく。JA豊橋がデルフィニウムを中心とした産地になっている背景には、そうした生産者同士のつながりがあるのだと感じました。
▶︎ ハウスを回りながら、生産者と言葉を交わす鈴木さんと、生産者の大澤さん
「トッピー栽培」で引き出す、茎の強さ
今回訪問した生産者の大澤さんは、ケイトウや葉ボタンを栽培しながら、冬場はラークスパーを育てています。
ケイトウの栽培を見させていただきましたが、特徴的だったのが「トッピー栽培」と呼ばれる栽培法です。5センチほどの浅い土に植えることで、あえて根にストレスを与え、茎を強くする方法だといいます。
ハウスを使わず外の環境で育てる露地(ろじ)栽培よりも、さらに茎が固くなるとのことで、実際に触らせてもらうと想像以上に硬く、驚きました。
日持ちも良く、夏でも2ヶ月持つこともあるとのことでした。

▶︎ 丹精込めて作ったケイトウは茎が驚くほど丈夫に仕上がる
▶︎ トッピー栽培。5cm程度の土に植えることでスパルタに育て、茎を強くする
▶︎ 葉の付け根から顔を出す、ケイトウの生育途中の姿。とってもキュート。
品質へのこだわり:生産者とJAが、互いに声をかけ合う関係
JA豊橋の品質を守るための積み重ねは、トッピー栽培のような技術だけでなく、生産者と農協との日々のやり取りにも表れています。
農協から生産者への情報共有はもちろん、生産者の方が常に品質を気にしており「この花を出荷して問題ないだろうか」「前回出荷した花は大丈夫だったか」という質問が上がってくるとのことです。こうしたやり取りの積み重ねが、JA豊橋の花の品質を支えています。
生産者にとっても、栽培の悩みや出来具合を相談できる相手がいることは、品質を保つ上での安心材料になっているようです。技術だけでなく、こうした関係性そのものが、JA豊橋の誠実な花づくりに繋がっていると感じました。
▶︎ 品質へのこだわりを軸に、生産者と農協が支え合うJA豊橋
花を売る人へ:作れる時期と、求められる時期のずれ
産地を回る中で聞いたのが、7月の海の日を過ぎると、花の需要が一段落してしまうという話です。そこから8月のお盆に入るまでの間は、いわば需要の谷間にあたる時期。一方で、ケイトウのような夏に強い花は、ちょうどこの時期にたくさん育てられます。
作れる時期と、求められる時期がうまく噛み合っていない。生産者にとってはもどかしい状況ですが、裏を返せば、この時期に売り方を工夫できれば、品質の良い夏の花をもっと多くの人に届けられるということでもあります。
海の日明けの需要の谷間に、どんな提案ができるか。難しいけれど、生産者と花を売る人たちで共に考え続けていきたい問いです。
▶︎ 夏に育てられる花を、需要の谷間にどう届けるかが課題
▶︎ ケイトウを育てる生産者の大澤さん
おまけ:JA豊橋のマスコット「トッピーちゃん」
JA豊橋のHPやグッズで目にするのは、オリジナルキャラクターの「トッピーちゃん」。この記事で紹介した「トッピー栽培」と同じ名前です。
入口では、ぬいぐるみのトッピーちゃんがお出迎えしてくれました。JA豊橋の看板として、お客様への人気も高いとのことです。
▶︎ トッピーちゃんのぬいぐるみを手にする鈴木さん
▶︎とってもハッピー、トッピーちゃん
🔗 ケイトウの商品一覧

🔗 デルフィニウムの商品一覧




🔗 バラの商品一覧


FARMER'S PROFILE

JA豊橋(ジェーエーとよはし/豊橋農業協同組合)
所在地:愛知県豊橋市
主な栽培品目:デルフィニウム、バラ、トルコキキョウ、ダリアほか多品目
🔗 公式サイト
WRITER'S PROFILE

フローリスト:MIU
新卒で入社した大手IT企業から花屋へ転身。フローリストとして修行を経て、現在は株式会社Domuzにて花の卸サイト「ハナイチ」の商品企画や仕入れに携わる。好きな花はクレマチス『水面の妖精』。