花き業界初のJAS認定。環境と日持ちに向き合い、花に正しい価値がつく未来を目指す F.F.HIRAIDE / 栃木県宇都宮市|花の仕入れを簡単に。花材の卸通販|ハナイチ

花き業界初のJAS認定。環境と日持ちに向き合い、花に正しい価値がつく未来を目指す F.F.HIRAIDE / 栃木県宇都宮市

公開日: 2026-08-24

F.F.HIRAIDEは、年間約90万本、日本のユリ生産量の約1.5パーセントを担うユリ農家で、70品種ものユリを育てています。

F.F.HIRAIDEの2つの『F』は”Farmer”と”Florist”です。Farmer(生産者)の賢司さん、Florist(フローリスト)の美樹さんがそれぞれの形でユリを中心とした花本来の美しさを伝えています。

▶︎ 敷地の中にあるフラワーショップ。フローリストの美樹さんが店頭に立つ

 


Farmerと Florist それぞれが描く、花本来の美しさ

F.F.HIRAIDEが育てるのは、年間70品種ものユリ。市場のトレンドにも応えながら、その中でも賢司さんが「綺麗だと思うので作っている」品種があると言います。その想いを大切にすることが、F.F.HIRAIDEの花づくりの根っこにあるのです。

最近のトレンドとしては、八重咲きのユリの需要が増えているといいます。一重咲きと異なり、八重は花びらが多いため、一枚が傷んでも全体として十分な美しさを保つことができる。そのうえボリュームのある花姿は、花束やアレンジメントの中で独特の存在感を放ちます。こうした流行を読みながらも、賢司さん自身の「これが美しい」という美的感覚で生産が決まる品種もある。その両立こそが、F.F.HIRAIDEのユリの魅力です。

一方で、フローリスト視点で美樹さんが提案するのは、シンプルな使い方の美しさです。「ユリは枝ものと葉物を合わせるだけでかっこいい。そういう飾り方をもっと広めたい」と。生産者である賢司さんの美的感覚と、フローリストである美樹さんの感性、それぞれがユリの可能性をさらに広げているのです。

▶︎ ボリュームのある花姿が人気を集めている八重咲き

 


70品種を実現する、球根の段階的管理

年間約70品種というこれだけ多くの品種を育て分けることができるのは、オランダから仕入れた球根の管理方法にあります。ユリの球根はオランダから冷凍の状態で輸入され、休眠(きゅうみん)状態のまま貯蔵庫で保管されています。植え付けのタイミングを自由に調整できるこのシステムだからこそ、一年を通じて70品種もの異なるユリを計画的に育てることができるのです。

ただし、解凍には細心の注意が必要です。冷凍のまま急に外気に触れさせるとユリが驚いてしまい、成長に悪影響を及ぼします。そのため、専用の部屋で段階的に温度を上げながら、時間をかけて丁寧に解凍していきます。この丁寧な管理こそが、70品種を安定供給するための重要な基盤なのです。

▶︎ オランダから冷凍で届く球根。解凍は温度を段階的に上げながら丁寧に行う▶︎ 1年中美しく咲き誇るユリ

 


オランダ式のガラスハウスが支える、効率生産

F.F.HIRAIDEのハウスの一部は、オランダ製のガラスハウスを導入しています。暑くなるとミストが自動で出て温度を調整し、収穫したユリをすぐに運べるレールが設備されているなど、管理体制がしっかりと整っています。

こうした設備のおかげで、これだけの規模を持ちながらも従業員数は決して多くありません。収穫から選別までの流れが効率よく組まれていることが、少人数での生産を可能にしています。

▶︎ ミストとレールを備えたオランダ式のガラスハウス

▶︎ ハウスからレールが直結している作業場。切ったばかりのユリをバケツに入れてそのまま作業場に運べる

 


花き業界初。切り花の「日持ち」を保証するJAS認定

F.F.HIRAIDEは、花き業界で初めて「JAS日持ち生産管理切り花」の認定を取得しました。JASは農林水産大臣が定める国家規格。切り花の日持ちを向上させるために、栽培から出荷までの生産工程管理を規格化したもので、2018年に制定され、2023年の基準見直しの際に「特色JAS」として制定されました。

農場の管理から、強い日差しの下での採花の禁止、衛生管理と適切な前処理、作業場の温度管理、出荷までの保管時間、低温での輸送まで、全工程においてこれらをすべてクリアしなければ認定は受けられず、年に一度、外部機関による厳格な検査が入ります。基準を一つでも満たさなければ、認定は失われてしまうのです。

また、環境面においても、環境配慮がまだ一般的でなかった20年近く前から、花き環境認証「MPS-ABC」に取り組んでいます。自社の環境への取り組みがどの位置にあるかを客観的に測りながら、改善を積み重ねてきました。

「JASはお客様に対して、MPSは環境に対して」。日持ちと環境、二つの向き合い方が、F.F.HIRAIDEの花づくりを支えています。

▶︎ 地道な作業の積み重ねが品質を支えている

 


丁寧な仕事の分だけ花にきちんと価値がつく未来を目指して

F.F.HIRAIDEが目指しているのは、日持ちを支える生産工程管理(JAS)と、環境への取り組み(MPS)という丁寧な仕事が、花の価値にきちんと反映されることです。

年1回の厳格な外部検査、毎日の細かい基準管理といった認定の維持には、決して安くない運用コストが伴います。ユリの単価が中々上がらない中、資材費や管理コストは上がり続けている現状があります。それでも「だからといって手間を惜しむわけにはいかない」という姿勢で花づくりを続けているのです。

だからこそ、F.F.HIRAIDEはお客様に対して、できること・できないことを正直に伝えるようにしています。これだけの品質と取り組みを実現するには、それに見合った対価が必要になる。その説明を丁寧に重ねることで、価値をきちんと理解してもらうことを大切にしているのです。

単価が大きく変わっていないという現実の中で、それでも手間を惜しまずに、品質と環境の両方に責任を持ち、丁寧な仕事を続ける。その姿勢こそが、花に本来の価値がつく道を作っているのだと思います。

▶︎ 手間をかけた分だけ、花の価値がきちんと伝わってほしいという思い

 


フローリストへ:ユリを長持ちさせるために

ユリを長持ちさせるコツは、深水にしっかりつけることです。茎の負担にならない範囲で、できるだけ深く水につけてあげることが大事。

また、ユリには専用のフラワーフードがあり、一般的な延命剤とは違う効果があります。水にユリ専用のフードを加えるだけで持ちや発色までもが変わるため、ユリ専用のものを使うことをおすすめします。

▶︎ 深水とユリ専用のフラワーフードが、長持ちのポイント

 


最後に

話を聞かせてくださったのは、フローリストとしてF.F.HIRAIDEを支えている美樹さんです。生産者にもお客様にも近い美樹さんとの対話を通じて、最も印象的だったのは「花の価値を正しく伝える」ことへの向き合い方でした。

今回お話を聞かせていただいた美樹さんは、フローリストとして20年間ユリを中心に、お花を販売し続けてきました。「ちゃんと説明をすれば、値段が上がっていることを理解をしてくれるお客様がうちには多い」と言います。

「生産者側が我慢をしていたら続けられない」。昨今の気温上昇、電気量や重油、輸送費、資材費の高騰。花の生産者を取り巻く環境は厳しいです。そんな中で持続可能な花づくりを目指して、F.F.HIRAIDEは”Farmer”と”Florist”の両輪で花とお客様と向き合っています。

生産者の側で「正しく伝える」ことを大切にする。フローリストでもある美樹さんだからこそ、その重要性を理解されているのだと感じました。花の価値を信じ、それを正しく伝え続けるF.F.HIRAIDEの姿勢に尊敬の念が止まりません。

▶︎ フローリストの視点を持つ美樹さんだからこそ、花の価値を正しく伝えることの重要性を理解されている

 


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FARMER'S PROFILE

F.F.HIRAIDE(エフ・エフ・ヒライデ)

所在地:栃木県

主な栽培品目:ユリ(切り花)

🔗公式サイト
ffhiraide.net

🔗インスタグラム
https://www.instagram.com/f.f.hiraide1972/


WRITER'S PROFILE

フローリスト:MIU

新卒で入社した大手IT企業から花屋へ転身。フローリストとして修行を経て、現在は株式会社Domuzにて花の卸サイト「ハナイチ」の商品企画や仕入れに携わる。好きな花はクレマチス『水面の妖精』。