ケイトウの水揚げは浅水が鉄則|花屋・レッスン・装花の水揚げガイド
ケイトウという一つの名前の中には、花穂が球状にまとまっていて丸い形のクルメ系、鶏のトサカのように広がるセロシア系、垂れ下がるように咲くアマランサス系など、見た目の異なる品種が並んでいますが、これらはすべて同じケイトウ属(セロシア属)です。姿かたちの差はあっても水揚げ・お手入れの基本はほぼ共通しているため、品種名を気にしすぎず一括りで覚えておくと現場で迷いません。
・葉は傷みやすいので届いたらすぐ取り除く
・花瓶の水は浅めにし、こまめに替える
・水が下がっているときは湯揚げする
というのがケイトウを長持ちさせる基本です。こうした手順の背景を知っておくと、レッスンや接客の場でも説得力のある説明ができます。
仕入れ直後にまずやること
STEP1:葉を取り除く
ケイトウの葉は傷みが早く進みやすく、また折れやすいです。水に浸かったまま放置すると、そこから傷みが茎全体に広がってしまうため、生ける前にできるだけ取り除いておきましょう。また、花は綺麗でも葉がしおれていると美しく見えないので、作品作りに特に支障がなければ、しおれて垂れ下がっている葉は優先して取り除きます。
STEP2:水の中で茎を切り戻す
水を張ったバケツの中で、茎の切り口を1〜3cmほど切り直しましょう。刃を斜めに入れると切り口が広がり、水に触れる面積を増やせます。セロシアや羽毛ケイトウのように茎が細いタイプは折れやすいので、他よりも気持ち優しめに扱うと安心です。
STEP3:水が下がっているときは湯揚げする
届いた時点で元気がない場合は、茎の切り口を80℃前後の熱湯に10〜30秒ほどつける「湯揚げ」が効果的です。花全体を新聞紙で包んで蒸気から守ったうえで湯揚げを行い、その後お湯につけた部分は切り落としてから浅めの水に移しましょう。茎が腐りやすいので、浅めの水で管理してください。
日々のお手入れ
ケイトウは茎が傷みやすく、水に浸かっている部分から腐敗が進んで水を汚す原因になります。そのため、2〜5cm程度の浅水にとどめ、できれば毎日、気温が高い時期は特にこまめに水を替えましょう。水替えのたびに花瓶も洗剤で洗い、ぬめりを残さないことも水の傷みを防ぐポイントです。
また、暑さに強いケイトウですが、涼しく風通しの良い場所に置いておきましょう。湿度が高い場合は、ケイトウがカビてしまう可能性があります。
花穂の根元に黒っぽい粒が目立つことがありますが、これは開花が進むほど増える本来の花や種の跡で、カビではなく日持ちへの影響も大きくありません。気になるときだけ指先でつまんで整えれば十分です。
シーンごとの注意点
花屋(店頭)
品種によって見た目が大きく違うため、その違いを抑えてお客様の要望に応えられるようにしましょう。「セロシア」は槍状・穂状に伸びるタイプ、「トサカケイトウ」「久留米ケイトウ」は鶏のトサカのような平たい・球状のタイプ、「アマランサス」はしだれるように咲くサイプなど、あらかじめ品種名とその見た目を押さえておきましょう。
レッスン(フラワースクール)
水揚げの基本を教える題材として扱いやすい花材です。また、品種によって花穂の形が大きく異なる点も、生徒さんに「同じ花材でもこれだけ見た目が変わる」という説明に使えます。
色が多彩で品種も多く、色や品種によって花束やアレンジメントの雰囲気をガラッと変えるので、夏の花材として重宝します。
装花(ブライダル・イベント)
セロシアや羽毛ケイトウのような縦に伸びるタイプはラインを表す花材として、トサカケイトウ・久留米ケイトウのような丸みのあるタイプはボリュームを出す素材として、装花の中で異なる役割を持たせやすいのが特徴です。
仏花
ケイトウはお盆や秋のお彼岸に使われます。暑さが厳しい時期なので、水替えの頻度に注意しましょう。
豆知識
ケイトウの花のように見える部分は、実は茎の一部が変形した花穂(かすい)という箇所で、花びらを持ちません。普通切花といえば花びらから痛みやすいですが、ケイトウにはその花びらがないため、比較的長持ちしやすいと言われています。
生花で使い切れなかった分は吊るして乾燥させるドライフラワーにもでき、赤系など濃い色を選ぶと乾燥後も色が残りやすくなります。
よくある質問と答え方
Q. ケイトウの花の部分に黒い粒々が目立ちます。カビでしょうか?
A. これはカビではなく本来の花や種です。開花が進んだケイトウほど、花穂の根元に本来の花や種が増えて黒っぽく見えやすくなります。仕入れの時期によって量に差が出る自然な変化で、カビとは異なり日持ちへの影響も大きくありません。ただし、飾っていると黒い種が沢山出てくるため、見た目が気になるときには指先でつまんで取り除いたり、花を振って種を落としてしまうのも手です。
どうしても気になる場合は、手かナイフの背を使うと綺麗に取り除くことができます。
Q. ケイトウの茎がヌルヌルして水が濁ってきました。どうすればいい?
A. 茎の傷んだ部分から雑菌が増えているサインです。水に浸かっていた部分を切り戻し、花瓶も洗剤でよく洗ってから新しい水に替えてください。その後も浅水で管理することで、水の濁りを抑えやすくなります。
Q. 「セロシア」と「ケイトウ」は別の花材ですか?
A. 別物ではありません。セロシアはケイトウ属(セロシア属)に含まれる品種のひとつで、槍状・穂状に伸びる見た目のタイプを指すことが多い呼び方です。水揚げ・お手入れの基本はケイトウと共通しているため、同じ扱いで問題ありません。詳細は下記「ケイトウ(セロシア)の種類」で解説しています。
Q. 品種によって水揚げの方法を変える必要はありますか?
A. 基本的には浅水管理・湯揚げの要領は共通で問題ありません。ただしセロシアや羽毛ケイトウのような茎の細いタイプは折れやすいため、水の中で切り戻す際はやや優しめに扱うと安心です。
Q. レッスンで生徒にケイトウを扱ってもらう際、注意しておきたい点は?
A. 浅水で管理する理由をあわせて説明しておくと、生徒が自宅で扱うときにも応用しやすくなります。また、茎を深く水に浸けすぎないよう、浅水で管理しておく旨を伝えておくとよいでしょう。
Q. ケイトウの新鮮さを見分けるポイントは?
A. 葉がしおれていないか、茎に黒ずみが出ていないかを確認してください。花穂はハリがあり、色が鮮やかなものを選びましょう。
Q. ケイトウは何日くらい日持ちしますか?
A. 目安として1週間〜10日程度、気温が低い時期は2週間ほど楽しめることもあるなど夏の時期には、比較的長持ちすると言えます。
ケイトウ(セロシア)の種類
クルメケイトウ
切り花のケイトウの中では最も流通量が多く、丸く締まった小ぶりの花房が特徴です。赤・ピンク・オレンジ・黄とはっきりした色合いが多く、茎が細いので小ぶりなブーケや花束にも組み込みやすいタイプです。秋のお彼岸前後は仏花としての需要も伸びます。

ウモウケイトウ
花穂全体が羽毛のようにふわりと広がるタイプです。ボリュームを出しやすく、仏花や大ぶりなスタンド花のアクセントとして重宝します。

ボンベイケイトウ
鶏のとさかのように波打つ、平たく大ぶりな花姿が特徴です。存在感が強いため、装花などインパクトを出したいアレンジに向いています。

セロシア
1本の茎から枝分かれし、ろうそくの炎のような細い花穂を密に咲かせるタイプです。他の3タイプより線が細くナチュラルな印象になるため、サブ花材として人気が高いです。

なお「ヒモゲイトウ(アマランサス)」「ハゲイトウ」も名前に「ケイトウ」とつきますが、実際はヒユ科アマランサス属という別属の植物です。

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